優しい君に恋をして【完】
バスから降りると、扉がしまり、
バスがその場から去ってしまうと、
急に一人ぼっちな気持ちになった。
知らない場所に、ひとり。
目の前に校舎が建ち並んでいて、
少し歩くと、校門が見えた。
まだ、誰も出てこない。
何時に下校なのかもわからない。
私は腕時計を見て、
校門横の壁に寄りかかった。
とにかく、待とう。
しばらくその場で待っていたら、
ランドセルを背負った子供たちが出てきた。
小学生もいるんだ......
そして、またしばらく待っていたら、
制服を着た子たちが出てきた。
中学生?高校生?
自分の高校よりも、ずっと人数も少なくて、
ずっと静かな下校風景。
ちらっちらっと見られて、
寄りかかるのをやめて、
校門から少し離れた。
離れた場所から、優を探した。
出てこないな......
ひと通り生徒達が出たのか、
門から出てくる生徒がいなくなってしまった。
優......もしかして、今日休んでいるのかな。
誰も出てこないから、また校門に近づき、
中を覗いた。
すると、
遠くの校舎の玄関から、
背の高い男の人が出てくるのが見えた。
優かな......遠くて顔までよく見えない。
門のところでその姿をじっと見つめていたら、
その人は下を向いてどんどん近づいてきた。
あ、優だ......
下を向いていても優だとわかった時、
優が顔を上げ、立ち止まった。