優しい君に恋をして【完】
抱きしめられた優の胸から伝わってきた、
優の声......
初めて聞いた、優の声。
わかるよ、ちゃんとわかる。
私を好きって言ってくれたんでしょ......
顔を上げ、優の顔を見ようとしたら、
ぐっと頭を押さえられ、もっと強く抱きしめられた。
「私も 優が好き」
今の声......聴こえた?
聴こえたでしょ.....胸に振動としてきっと伝わっている。
私たちは、きっと......絶対に大丈夫。
心の声を、いろんな方法で伝え合っていける。
ふっと抱きしめていた力が緩まると、
遠くからバスが近付いて来ているのが見えた。
私がバスを指差すと、
優はそっと私の手を引いて、
バス停へと優に手を引かれながら道を渡った。
誰もいないバス停。
バスが近づくと、
優は私の後ろに回って、
そっと背中を押して先に乗せてくれた。
1人しか乗客がいなくて、
どこに座ろうかと悩んでいたら、
優が後ろからバスに乗ってきて、私の手を引いて、
一番後ろの窓際に私を座らせた。