じぇねれーしょん
七緒は、ぱちっと目を開けた。
まだ十分な睡眠ではなかったが、潜在意識に「まだ熟睡しちゃダメ」というシグナルが残っていたからだと思う。
仕事も切りになったはずだし、何故だっけ?
目を開けてみて、見知らぬ天井に驚いて飛び起きた。
部屋は小奇麗に片付けられていて、家具などを見る限り結構リッチな生活であることが伺えた。
ソレはともかく見知らぬ部屋だ。
「あ、七緒さん、起きたんだ。」
不意にドアが開いて、ひょっこりと姿を現した少年に、七緒はぎょっとして後ろへ飛び退った。
風呂上りらしい彼はタオルを腰に巻いただけのあられもない格好だ。
何も知らない小娘ではないが、知っているからこそこの状況には慌てふためいてしまう。
私この少年と何があった???
いや、これから何かがあるのかもしれないが、どういう経緯で彼とこんなことになっているのかさっぱり思い出せない。
最後の記憶は、単に連れて行かれたカクテルバー…………。