じぇねれーしょん



手早く済ませたつもりだったのに、利嘉がシャワーを終えて部屋へ行くと七緒はベッドヘッドへ凭れる様にして寝ていた。


三つのグラスのうち二杯は完飲。

最後の一杯は呑めなかったというよりチビチビ呑むつもりだったらしい梅酒ロックで、グラスに半分ほど残っている。


やっぱ疲れてるんだろうなぁ……。


七緒の寝顔を見て、利嘉は薄っすらと眉を寄せる。


ここはどーしようもなく、寝かせてやるべき場面だろう。


仕方ない。

心底ザンネンだが、それ以上に七緒が倒れるようなことには絶対したくないのだから。


それでベッドに横たえようと手を伸ばすと、気配を察したように七緒の瞼がパチッと持ち上がった。


「……ゴメン。私、今、寝たわね。」

「ああ、…うん。辛いなら無理しなくていーけど……」


大丈夫?と目混ぜで尋ねると、七緒は口端を解いて頷いた。



「大丈夫だって言ってるでしょ。日々、このご褒美の為に頑張ってるようなモンなんだから。」

茶目っ気な微笑にドキッとする反面、言葉には出来ない痛みが胸を刺す。


ウェットなジョークをさらっとかませる辺りさすがオトナだと思う。

コレを脅されてではなく、ご褒美だと思ってくれてるのなら、ウレシイ。


だけど。






―――ご褒美を与えるのは、俺じゃなくてもいいんでしょ?


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