じぇねれーしょん


本来なら、元彼が与えてきたもの。

本来なら、カノジョに見合う男が与えるべきもの。

仕事で疲れた体と心を癒すために甘やかしてもらえるなら、誰でもいい。



利嘉は痛みを無理矢理、笑顔で隠し、そっとベッドに腰掛ける。


「そんじゃ、一杯ご褒美あげなきゃ。七緒さん、一杯頑張ったんだもんね。お疲れ様。」


労うように優しく口付ける。



甘やかしてくれるなら誰でもいい。


ソレが事実で、心が痛んだのだとしても

―――突っぱねるなんて出来ない。

痛いからイヤだなんて言えない。


だって、どんな形であろうと、七緒に触れられるのは嬉しい。


とりあえずであろうと手中に収まっている七緒を青臭い感情論なんかで手放すなんて惜しくて出来ない。



一緒にいるだけで、キスだけで、こんなにドキドキする。



甘やかせて、甘やかせて。

七緒に、こんな甘やかせ上手は他にいないと思わせれば。


繋ぎとめておくことが出来る………よね?


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