じぇねれーしょん
曖昧な記憶と格闘しながら、少年をマジマジ見詰めていた七緒は、フラッシュバックしたものに「あっ!」と声を上げた。
「アナタ、あのバーテン!?………って、え?」
断言は真っ平らな胸部に尻すぼみになっていく。
出合ったバーテンダーはオンナノコで、今目の前にいるのはどうみてもオトコノコだ。
七緒の混乱に少年は微苦笑で肩を竦めて種明かしする。
「見ての通り男だよ。あの店で働いているのがバレると困る事情があって、オーナー命令で女装してんの。ちなみにここはそのオーナーの家で、俺の叔父なんだ。」
「へぇ。」
改めて部屋を見回して納得した。
家族で住んでいるような雰囲気はなく、かといって若い少年が一人で住んでいるには高級だと思ったのだ。
「ゴメンナサイ。」
突然の謝罪に視線を戻すと、戸口のところに居る少年は尻尾を垂れた犬みたいにすっかり肩を落としている。
「それほど強い酒選んだつもりはなかったんだけど、弱いならもっと軽いの造れば良かったね。」
少年の気落ちしている理由を知って、七緒は慌てて否定した。
「ああ。違うの。あれは酔いつぶれたんじゃなくて………結果的には酔いつぶれたことになるのかしら?三日ぐらい仕事で徹夜続きだったから。」
「は?三日も!?」