じぇねれーしょん
撮影は来週からのはずだが、何の用?
怪訝な顔をする利嘉に、加藤―――千佐都はもったいぶるように身を捩った。
「ゴメンねぇ~いきなり名前で呼んじゃって図々しかったかなぁ。でも、リカ君ってリカ君ってカンジなんだもん。」
いやいや、話はそこじゃないから。
益々怪訝な顔をする利嘉に、千佐都はようやく本題に入ってくれた。
といっても利嘉にとってどーでもよい話だったけれど。
「来週からようやく撮影だよねぇ。モデルなんて初めてで、ちゃんと出来るか千佐都不安だなぁ。」
「……話、それ、なの?」
グチ!?
お悩み相談!?
生憎とそんなモンを悠長に聞いている余裕はない。
苛立ちを押し殺すために、尋ね返した言葉が妙な片言になってしまった。
そっけない反応に千佐都はちょっとだけ慌てた。
顔見せで会った利嘉はとても愛想が良くて、結構好感触だと思った。
何より、千佐都は自分の可愛さを理解している。
某お嬢様高の制服も立派なステータスになることも織り込み済みだ。
現に、下校する男子生徒からは秋波と興味の視線、女子生徒からは嫉妬に似た羨望の視線を集めている。
だから多分利嘉だって。
まだ特別な好意を千佐都に抱いていないとしても、可愛い女子高の生徒との逢瀬に少なからず愉悦を感じると思っていたのに。
寧ろ、このメイワクそうな態度はどうだ。