じぇねれーしょん
内心戸惑いつつも尚言いつのる。
「撮影に一人で行くの心細いからぁ、一緒に行く約束できたらいいなぁって。それでこの間聞きそびれちゃったしケー番教えてほしーな。」
えーヤだよ、七緒さんに誤解されんじゃん。
利嘉は焦燥で引きつりそうになる笑顔の下でシャウトした。
が、さすがにこれから一緒に撮影をしなきゃけない本人には言えない。
ギクシャクしたらそれこそ七緒にメイワクが掛かってしまうだろう。
ここは演技派・利嘉ちゃんの本領発揮どころだ。
「ゴメン。来週ずっと補習があってさー、撮影はギリギリ走って飛び込むつもりなんだよねー。加藤さんまで走ることないし?」
少しだけ困った顔を取り繕いつつ、だから一緒に行くのは無理ッ!と言外で強く言い切り、早々と走る体勢を整える。
「でぇ、重ね重ねゴメン。今日の俺マジで急いでるから!連絡先とか、また今度ね。」
それで千佐都も納得したらしい。
自分が軽んじられる理由を。
納得というか、誤解なのだが。
「え!そーなんだ。千佐都こそゴメンね、利嘉君が急いでいたなんで知らなくてー。……御不幸?なんだ。ゴメン、早く駆けつけてあげなきゃね。」
もう自分がスルーされる急用、重用なんて、ソレしかない!
千佐都は力ずくでそう確信する。
「………………うん。そう、葬式…ね」
俺の急ぐ理由ってマジそれオンリーなわけ?
ガックリ項垂れつつも解放されるならなんでもいーやと思い直し、利嘉はよろよろと走り出した。