じぇねれーしょん




殆ど全力疾走で帰路を駆け抜けた。


飛びついたマンションのドアノブに鍵を差し込み、あれ?と眉を顰める。


出て行く時に確かに掛けたはずの鍵が開いている。


ひょっとして、どーしても外せない用事が出来て、鍵を掛けずに帰っちゃったんだろうか。


不安と焦燥の綯交ぜになった気持ちでドアを開け、利嘉はフリーズした。




見慣れたようで、見慣れない靴があった。

見慣れたというのはその靴もその靴の持ち主もよく知っているからで。

見慣れないというのは、近日、この玄関にまったく置いてなかった代物だという意味だ。





なんで、よりによって、今日!?


利嘉は靴を脱ぎ捨てて慌てて部屋の中に転がり込んだ。


相変わらず人気のないリビングは素通りし、全開になっていた自室のドアに駆け寄って、一気に血の気が引いた。


ベッドの脇には男がいて、利嘉の気配に天使のような微笑を向けた。



「小人気分?………で、このお姫様なんだろな?」



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