じぇねれーしょん


こんな針の筵状態で和気藹々のディナーなんて無理!と思っていた七緒も、目の前のご馳走に思わず目が釘付けられる。


ぐーっ。


なんて躾の悪い……。

うっかり鳴った腹の音に七緒は己の食い意地を悔い、顔を赤らめ俯く。


それでも箸を取るのを躊躇っていると


「口っ!七緒ちゃん、口大きく開けて!」


切羽詰ったような声に驚き、反射的に口をパカッと開けた。


そこへサーモンが飛び込んできて目を白黒させる。


七緒の口にサーモンを押し込めた皆実が朗らかに笑う。



「さあ、食べよう。七緒ちゃんのために作ったんだから食べてくれないと悲しいんだけどナ?」


ああ、それは本当に失礼だ。


この期に及んで針の寧ろがどうの言っている状態ではない。


それに口に押し込められたカルパッチョは、お手製オリーブオイルのソースも含めて絶品だ。
食欲が刺激された。



「………ではお言葉に甘えていただきます。」

「はい。召し上がれ。」



促されて食事が始まった。



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