じぇねれーしょん




七緒は無言で無邪気な笑顔を見続けた。

見続ける以外に出来ない。

言葉がない。


リカがコドモだなんて。

そんなの分かってる。


これはあれだろうか。

分別あるオトナなら、コドモを外れた恋愛に誘惑するな、とか、そういう意味なんだろうか。


真っ当な恋愛なんかじゃなく取引めいた歪な関係でも縋り付いていたい、なんていう浅ましい気持ちすら見抜かれたようで身が竦む。


顎が震え、羞恥と混乱で頭が干上がった。

喉を絞められたように言葉が出てこない。



「ナニしてんの。」


不機嫌な声がして、トイレから出てきたリカがいつになく不機嫌そうに二人を睨んでいた。


皆実がにこっと笑う。



「七緒ちゃんにあーんしてんだけど、中々食べてくれないんだよねー。」



さっきまでの話が幻のような無邪気な微笑でオリーブの刺さったフォークをくるくると回す。


面の皮が厚いったらない。



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