じぇねれーしょん

落ち込んで俯いていると、柔らかくスプリングを撓ませて少年がベッドの端に腰を下ろした。


「全然。すっごく驚いたは驚いたけど。酒の所為じゃなくて安心したし。」


優しい言葉にほっとして顔を上げると、思いのほか近くに少年の真っ直ぐな双眸があった。


「それに。ボランティアじゃないんだから、何の下心もなく女性をお持ち帰りなんてしないんだけど。」


「………どういう……」

こと?


聞こうとした言葉が柔らかなものに摘み取られた。


皮膚の下の神経がザワリと揺らめいた。


それでも状況を判断するだけの理性は戻ってないらしく、呆然と少年を見詰める以外に出来ない。


唇が触れ合う距離で、少年が尋ねる。



「イや?」


七緒のノーリアクションに少々怯んだか、戸惑いの滲んだ物言いが可愛い。

だけど反らされない双眸は挑発的で、列記とした男のものだ。






―――――ああ。油断した。



オンナノコにバケるくらい可愛いから。

自分はオバチャンで、彼は若いから。

会話が弾んで気心が知れた気でいたから。




こんなことにはならないだろうとまるで警戒していなかった。

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