じぇねれーしょん
残っていた調味料を冷蔵庫に片付け、残り物にもラップをする。
せっせと後片付けの仕上げをしているとリビングから声が掛かった。
「じゃあ、今夜はもう帰るわね。」
「えっ!」
驚いて振り返り、既にスーツを着込んで帰り支度を整えている七緒に唖然とする。
「ちょ…いきなりなんで…」
「いきなりってことはないでしょう?昨日は泊ったし。そろそろ家にも帰らないと蜘蛛の巣が張るわ。」
冗談めかす七緒をじっと見詰める。
そして直ぐに違和感の理由に気付いた。
利嘉がリビングに戻ってから、一度も視線が合ってない。
リビングに戻ってから?
食事の時から?
否、それ以上前だった?
思考を巡らし、要因と思えるものに気付いて、ぎゅっと拳を握る。
胸に去来するのは先ほど飲み込んだはずの黒い感情―――
顔から表情が失せた。