じぇねれーしょん
「まさかとは思うケド…今から落ち合う約束でもしてんの?」
「まさか。……誰と?」
「皆実さん。」
玄関に向かっていた七緒が怪訝そうに振り返る。
「何でそこに皆実先輩が出てくるのよ?」
その一挙一動を食い入るように見詰めて、口にした言葉は単なる邪推であったことは分かった。
しかし、一旦溢れたココロは蓋をする隙もなく一気に噴出した。
「だって憧れてたんでしょ、皆実さんに。それとも……昔、付き合ってた?」
食事の最中、ずっと聞きたくて、聞くのが嫌で飲み込んだ質問。
「バカなこと言わないで頂戴。憧れてたのは、自分もこんな人になりたいっていう憧憬であって、付き合いたいっていう憧れではないわよ。」
「でも。いいんじゃないの、あの人。アレで中々、人の機微に鋭いし、器デカイし。色々な意味でオトナだよ?七緒さんの一人や二人、簡単にあしらえる。」
あしらえるという言葉になのか、嘲弄じみた笑みになのか、七緒の眉が神経質そうにピクッと跳ねた。
しかし、そう易々と声を荒げたりはしない。
「イイカゲンにして。………何が言いたいの?」