じぇねれーしょん
猛烈な自己嫌悪に陥るものの、簡単に割り切れないのも事実で。
本当にもうコレで終わりなの?
未練は雪崩のように襲ってきて、七緒をリカの元へ走り出させる衝動に駆り立てる。
見栄も体裁もかなぐり捨てて、縋りたい。
それでリカが構ってくれるなら。
そんなことを思って、泣きたくなってしまう。
以前の彼にはまるで思いもしなかった感情だから。
いっそ元彼が相手ならよかった。
そうしたら泣いて縋って、モトサヤに収まる事が出来ただろう。
これほどに思い詰めても行動を躊躇するのはやはりリカがコドモだから、だ。
イイ年の大人が醜態を晒して追い縋っていい相手ではないのだ。
猥雑な撮影所に下世話な口笛が響いて、七緒は思考の波から抜け出した。
入口に視線を向け、息が止まるような感覚に陥る。
リカがスタジオに入ってきた。
その横に千佐都の姿もあって、その手が甘えるようにリカの制服の裾を抓んでいる。
密やかに彷徨っていたリカの視線が七緒に止まり、思い出したみたいに何気な仕草でその手をやんわり放したけれども。
―――ああ、そういうこと。
足元から崩れるような感覚。
そして実際、奈落の底まで落ちた七緒は、戸惑うような顔のリカにニコリと笑顔を向けた。