じぇねれーしょん
リカが少し驚いたように目を見張る。
七緒は律動的な歩みで彼等に近づいた。
「二人とも遅れず来られてヨカッタわ。今日から撮影なのでヨロシクお願いします。」
「…あの、七緒さ…」
「あ、ゴメンなさいね。今撮影しているのが専属の子たちなんだけど、少し時間が押してるからもう少し待つことになるの。二人とは同世代だし待っている間、撮影の勉強になると思うから見ているといいわ。」
テキパキと説明をこなして、丁度良くセットの入れ替えとなった現場の方へ踵を返した。
積極的に仕事を手伝いながら、自分の面の厚さに自嘲が洩れる。
これは現実逃避なんかじゃない。
自主的にココロのブレーカーをパチリと切って落としただけだ。
そうでもしなきゃ、取り乱して、きっと仕事どころではなくなる。
プライベートを切り離した後は、仕事に没頭するだけだ。
それでもほんのした合間に、凍結したはずの感情が動きだし、視線をリカに向かわせる。
二人は入口に近いところで撮影を見ながら、時折何か言葉を交わしている。
スタッフの誰かが気を利かせて、折畳み椅子を出してくれたようだ。
ああ、本来ならば七緒の仕事なのに。
プライベートに翻弄され仕事も真っ当にこなせない自分が心底嫌になる。
今だって、撮影初日の彼等の緊張を解すために、色々とフォローすることはあるだろうに、近づくことさえ出来ない。
だって、二人はスゴクお似合いだ。