じぇねれーしょん
立花は呵呵大笑し、居丈高に踏ん反り返った。
「まー俺の真贋の目にかかれば、隠したって直ぐバレルってなもんよ。ダブル不倫とか、二股、三股とか。このギョーカイ結構多いぜ?」
「…それ本当ですか?」
驚く七緒に、立花は顔を近づけて耳打ちする。
告げられた名前は、仕事であまり接点はないけれど顔くらいは知っている人物で、七緒より幾分立場が上の人達ばかりだ。
今度こっそり観察してみよう……と密かに下世話な誓いを立てる。
ほれっ、とカメラのプレビューを向けられて、指示通りに写真をダストボックスに入れた。
操作が完了して、ホッと胸を撫で下ろす。
そうして、消えてしまった自分の姿を静かに思い出し、淋しい自嘲が零れた。
「…でも、もう本当に隠すことなんてありませんから。」
もう終った。
切り捨てられた。
追いかけたくても、追えない相手―――。
残っているのはどこにも行けないこの恋心だけだ。
立花に突かれるような関係は何もない。