じぇねれーしょん
ああ、やっちまった。
早朝。
目覚めた七緒は隣でスヤスヤと眠っている少年を見下ろし冷静に思った。
少年を起こさぬよう、そっとベッドを抜け出て床に無造作に落ちた服を身につける。
昨晩を一言で言い表すならとても『好かった』。
宣言通り存分に甘えさせてくれたし、溺れるような体験も初めてだ。
だけど、だからこそ残念だ。
『リカ』はイイ子だけど、平常心の七緒であれば絶対こんな事態にはならなかった。
フラれて傷ついたココロを慰めてもらいたかったというズルイ気持ちがなかったとは言えない。
それに…………
部屋を出るとき今一度ベッドの少年を見て溜息を吐く。
フラれて寂しいオバサンだから、簡単にオチルと思った?
その通りだからそれについては何も申し開きはないけれど、それを改めて面前と言われるのはツライ。
若い彼が興味本位で手を出しただけのこと。
分かっているから、せっかくの一夜の夢を心無い台詞で台無しにしないように、七緒はそっとマンションを抜け出した。