じぇねれーしょん


ロールカーテンの前でポージングを取っていた二人が撮影を終えて戻ってくる。


「かー。ミンチンにダメだしされたー!」

「おぉ。さすが女史、キビシー。」


帰ってくる途中、七緒と話しているところを見たので、多分、女史とは七緒のことだろう。


ぶっ……女史って、ミンチン女史って。
小公女の?

皆実のロッテンマイヤー発言といい、七緒、キャラ、ブレねー。


「んじゃ、俺が仇打ってきてやるぜ!」


意気揚々と立ち上がった三人を激励で見送って、残ったヤツ等は再び囀りだした。



「ったく。女史、きびしすぎだっつーの!」

「でも、だから逆に誉められるとメッチャ嬉しいんだよなー。」

「『やるじゃない』ってか?」

「ぎゃはは。激似!チョークールになっ!」

「でも浮かれるよな。」

「踊らされてるよー、って思いつつも、つい頑張っちゃおーってか。」



洩れ聞こえる会話に利嘉は思わず表情を緩めてしまう。


厳しいとか文句を言って意地悪女史扱いだけど、彼らの七緒に対する評価は決して悪くない。

寧ろ敬愛を含んだイジラレキャラ?


何より、彼等の言い分に共感してしまう。


七緒は容姿や年で人を持ち上げることはなく、いい事に対しても悪い事に対しても確かな判断をズバリと言ってくる。

だから彼女の評価は信用できる。


家でオリジナルカクテルを出す時も、美味い不味いはズバリと突かれるため気が置けない。


なにより。


普段、冷静なオトナ然としている七緒が、素で喜んだり誉めたりする態度はとてもシンセンだ。


ソレを見たさについアレコレ奮起したくなる。


確かに踊らされてるよなー、とは思うけれど。

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