じぇねれーしょん
着替えもあるので千佐都とは別れてフィッティングルームに入る。
服を着せ掛けられ、髪を弄られる。
年相応のオシャレはするけど、基本的に心血注ぐジャンルではないので、如何にも小ジャレタ風の装いを鏡越しに見て少々ヒク。
「きゃー。リカちゃん可愛いわー。」
女性スタッフの賛辞に利嘉は複雑な心境だ。
良いモノをナニコレ構わず『カワイイ』と一括る習慣は分かっているけれど、どうせなら格好イイと言われたいオトシゴロだ。
「ああ。素材がいいから色々試したくなるよな。」
スタイリストの女性の歓声に、メイクアップ担当の男も満更ではなさそうに頷く。
今回、メイクはないが、眉を整えたり肌の簡単な手入れをした。
「やーだ。清水さんが言うとヤラシーです。」
「何がだ。アンタがセクハラだろが。」
清水と呼ばれた男は冷ややかに突っ込む。
確かに、女性の発言はセクハラちっくだが、そういいたくなる気持ちも分からんでもない。
見たところ、七緒と同世代と思しき清水は同性からしても格好イイと太鼓判を押せるような美男子だ。
本人の自覚以上に言葉が妙な色気で作用する。