じぇねれーしょん
なんで?
今までと変わらないはずでしょ?
まさか、この間の他愛ない口喧嘩ごときで、この関係を終らせようなんて思ってないよね?
「……七緒さ―――」
躊躇いがちに掛けた声が、「和原あーっ」という濁声に遮られた。
慌しくセットを組みなおしている現場で先ほどのオッサン、立花が七緒に向かって顎をしゃくった。
七緒は利嘉に断わって、立花の下へ駆け出した。
その光景に目を眇める。
立花に何かを言われた七緒はチラリと利嘉に視線を向け、睨むように立花に何かを言い返したが、暫くして諦めたように戻ってきた。
「えーと……ゴメンネ、リカ。加藤さんが来る間、立花さんが個人的にというか、練習にというか、写真撮らせてくれって言うんだけど。」
「ふーん」
苛立ちのあまり返した返事が酷く冷たくなった。
アノオッサン、二人の関係に気付いているんじゃないだろうか。
それで俺を観察しようってか?
上等!
「いいよ。」
利嘉が乗り気じゃないといえば直ぐにでも断りに行くつもりだったらしい七緒は意外な返事に「えっ…」と顔を上げた。
「何でそんなに驚くの?俺とあの人が近づくと、七緒さん的に何か問題でもある?」
「っ………ナイ、けど。」
ウソツキ。