じぇねれーしょん
でも、ダメ。
七緒はきゅっと唇を噛み締めた。
千佐都と比べられるなんて無理。
あんな若くて、カワイイ子と比べられたって勝てる要素なんて何一つありはしないんだから―――。
突如、静寂を破って、携帯の着メロが響いた。
以前、「自分用♪」と設定した人物を思い、飛びつくようにバックに手を突っ込む。
「も……しもし。」
『仕事?』
「そう、…よ。」
なんで電話してきたの?
ドキドキ逸る鼓動を抑えつつ七緒は伺うように慎重に訪ねた。
それに対し、リカはいつもどおり無邪気に話を続けた。
『ねー。俺今日ガンバッたと思わない?』
「ええ。とてもヨカッタわ。」
七緒の返事はそれまでの迷いを忘れたように即答だった。
太鼓判を押すといっても過言ではない。
ポージングなどは、経験のない分甘かったが、ぶっつけ本番の素人であれだけ堂々と撮影が出来る人物なんてそういない。
これは欲目などではなく、周囲にいたスタッフからも聞かれた感想だ。