じぇねれーしょん
立花は、七緒が電話中と悟ると(どうぞ)というように顎をしゃくって、入室を辞した。
電話が終わる頃合いまでどこかで時間をつぶしてきてくれる心遣いらしい。
感謝する。
「えと…ともかく今夜は―――」
『……今のってあのチンピラカメラマンだよね?』
「…そうだけど…」
リカに説明したこともないのに、リカの認識でも立花はチンピラであるらしい。
そんなどうでもよいことに意識をスライドさせた七緒に、電話口から硬い呟きが届いた。
『…七緒さんって仕事スキだもんね。』
どこか小馬鹿にするような声音に、七緒はちょっとだけ眉を顰める。
「別に…スキとかキライとかの問題じゃないでしょ?仕事なんだから責任があるのよ。」
『ああ。どーせ、俺、ガクセーの分際だし?理解できないかもねー。』
「…何、トゲトゲしてるの。おかしいわよ、リカ……」
『どーせ!俺、コドモですしっ?』
「リカ」
不機嫌なリカを宥めるようにそう呼びかけると、とたんに沈黙が落ちた。
『…ね。ホント、何時でもいいから、来て。お願い。』
打って変ったように下手の誘い。
思わず心がグラリと揺れる。