じぇねれーしょん
気に入った毛布を取られた子供みたいに、利嘉は心許ない不安に駆られて瞼を持ち上げた。
途端、蛻の殻となったベッドの隣スペースを見てはっきりと覚醒した。
慌てて部屋を飛び出し、バスやトイレを覗く。
「え、マジ?なんで?七緒さーん。」
一応声を上げてみたが、七緒どころか家主の気配さえ無い空間で答える声はない。
最初に見に行った玄関に靴がなくなっていることは既に確認しているけれど……。
駄目元で全部の部屋を見て回った利嘉はようやくリビングに戻ってきてソファーに突っ伏した。
「………マジかよ…………」
最悪だ。
弄ばれた。
いや、こういう場合男が弄んだことになるのか。
ああ、もう、そんなことはこの際どうだっていい。