じぇねれーしょん


単なるセフレでしかなかったのに

―――その体まで飽きられたなら本当に用無しだ。


喉を迫りあがってきたものが、あっという間もなく眼の縁に盛り上がって、臨界点を超えた。


身じろいだ拍子にかろうじてかかっていたメガネがずり落ち、カッシャンと鳴ったのが合図みたいに涙が落ちた。


「ひっ………ぅっ……」


嗚咽にリカがぎょっと振り返る。


「ちょ、七緒さんっ……」


おろおろと伸ばされた手を七緒はウルサイッ!と払いのけた。


見栄も体裁もない。

こんなのオトナじゃない。


どこまで醜態晒す気だ、と思ったりもするが、もう制御不可能だ。



永遠の休火山である富士山でもこんな噴火はしないだろうという暴発ぶりだ。


元彼の時は泣くほどの気力も湧かなかったくせに、リカには違う。


このまま大人しく別れてなんかやるか!

これが最後なら、見っとも無く醜態晒してやるわよ!



わーんとまるで子供みたいに本格的に声を上げて泣き出した。


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