じぇねれーしょん

七緒を見詰めていた双眸が揺らぎ、そっと落とされた。


「ごめんね、七緒さん。俺がガキで。」

「…え?」


七緒はその真意を汲み取ることができず怪訝に問い返した。


「俺、結構要領イイから、愛相よく媚たり、卒なく立ち回ることは出来るんだけどさー、…けどどーしたって所詮18のガキなんだよね。オトナと本気でガチっても絶対敵わないトコあんの。」

……たとえばさ、と利嘉は溜息のように続けた。


「七緒さんがリスクのない年相応のお付き合いを望んだら、今の俺には叶えてあげられなくても、…例えば皆実さんなら叶えてあげられるんだよね。」


例えば、立花だって。


性格はさておき、未成年じゃないから堂々と公でデートも出来るし、夜の逢引きだって不自然じゃない。


年上なら七緒だって体裁も気にせず、安心して寄りかかれるだろう。


現実的な話、金や地位があるなら、結婚という責任の取り方だって出来るのだ。


リカにはそれら全てが満たすことのできない事柄だ。


こつっと音がして額が重なる。


「だからこれはどーしよーもない俺のコドモ染みた八つ当たり。」


ごめんね、と呟く吐息がキスのように唇を掠める。


「繋ぎ止めとくのが俺のエゴだって知ってて、知っていながら開き直ってて、…そのくせ時々不安に挫けちゃう。挫けて七緒さん、傷つけちゃった。」



< 189 / 233 >

この作品をシェア

pagetop