じぇねれーしょん
七緒を見詰めていた双眸が揺らぎ、そっと落とされた。
「ごめんね、七緒さん。俺がガキで。」
「…え?」
七緒はその真意を汲み取ることができず怪訝に問い返した。
「俺、結構要領イイから、愛相よく媚たり、卒なく立ち回ることは出来るんだけどさー、…けどどーしたって所詮18のガキなんだよね。オトナと本気でガチっても絶対敵わないトコあんの。」
……たとえばさ、と利嘉は溜息のように続けた。
「七緒さんがリスクのない年相応のお付き合いを望んだら、今の俺には叶えてあげられなくても、…例えば皆実さんなら叶えてあげられるんだよね。」
例えば、立花だって。
性格はさておき、未成年じゃないから堂々と公でデートも出来るし、夜の逢引きだって不自然じゃない。
年上なら七緒だって体裁も気にせず、安心して寄りかかれるだろう。
現実的な話、金や地位があるなら、結婚という責任の取り方だって出来るのだ。
リカにはそれら全てが満たすことのできない事柄だ。
こつっと音がして額が重なる。
「だからこれはどーしよーもない俺のコドモ染みた八つ当たり。」
ごめんね、と呟く吐息がキスのように唇を掠める。
「繋ぎ止めとくのが俺のエゴだって知ってて、知っていながら開き直ってて、…そのくせ時々不安に挫けちゃう。挫けて七緒さん、傷つけちゃった。」