じぇねれーしょん
場の空気は読める方で、会話も苦手じゃない。
物怖じなんてものは記憶をさかのぼっても数えるくらいだし、勿論人見知りなんてしたこともなかったのに……。
どうにも腰が引ける。
見るからにデキル女性っぽくて、餓鬼など門前払いだろう。
というか、それ以前にこの格好じゃ文句なしのボールゾーン。
ワイルドピッチもいいところだ。
ジェル入り底上げバストに項垂れた利嘉は、チラリと視線を上げて更に深い溜息を零す。
何より。
彼女の隣にいる男の存在がデカイ。
ペアルックでもあるまいに彼女とお揃いのスーツ。
これでも一応、水商売の端くれなので見る目はある。
同僚ならよいのだが、二人の間にある砕けた雰囲気は同僚の一線を逸している。
カレシなんだろうか。
なんだろうな。
それが手の施しようのないブ男だったり、ウダツの上がらない中年だったらまだしも、彼女に遜色ない大人な上、男前であるのが腹立たしい。
忌々しげに舌打ちした利嘉は、自分の思考に気付いて慌てた。
初対面で口も聞いたことも無いお客さん相手に、何をいきなり恋愛モードだよ、俺っ。