じぇねれーしょん
訪ねようとして廊下をバタバタ走る足音に現実に引き戻された。
『ねー和原さん見なかったぁー?』
壁越しに聞こえるスタッフと思しき声に、一瞬にして顔面蒼白になる。
「どどどどど、どーしよう!撮影っ!」
「落ち着いて。あー…ひとまず七緒さんは服直したほーがいいよ。」
「服っ!!」
冷静な指摘に、七緒は乱れたままだった服を慌てて整えた。
テンパっていたとはいえ、ブラウスの前は肌蹴たまま、スカートもパンストも中途半間にずり落ちたまま。
こんな無体な格好で喚いていたのかと思うと今更ながらに眩暈がする。
「化粧どーする?…いっそ開き直る?」
「無理っ!」
崩れた化粧なんて、すっぴんより始末が悪い。
多分、洋服より無残なことになっているはずだ。
「この階の端にロッカールームがあって、そこに行けばなんとかなるんだけどっ」
「了解。廊下にいた人は俺がなんとかしてみるから、七緒さんは強行突破ね。」
ありがとうございます!