じぇねれーしょん


正直、今日会えないと知って、良くも悪くも気が抜けた。


昼の一件があって、多分最悪な事態は避けられたと思うけれど。


『決戦の時』はいつだってやっぱり緊張するものだ。


利嘉も七緒もチェックメイトは告げてない。


切欠は利嘉の暴挙、そして爆発したのは七緒。


そうしてお互いに溜まっていた膿を吐きだしたけれど、肝心の言葉が言えず仕舞いだ。


七緒を繋ぎ止めるに至る理由。


全てはそこから始まっているのに、はぐらかすようにこれまで伝えなかった。


だって言えなかった。


利害だけの関係に片方が気持ちを持ちこんだら絶対崩壊するに決まっているのだから。


言って崩壊するなら、言わずに関係を続けていたほうがいい。


それでも、逃げられないようにあれこれ策謀を巡らしてはみたつもりだった。


まさか、それらがとんでもない裏目に出てるなんて思いもしなかった。


世間の目を気にするのだって、七緒の立場を慮ったからで。

加藤にしたって、七緒の立場を考えてこそ甘んじて愛相良く振る舞っていただけだし。

七緒の周囲にいるオトナに嫉妬したのも、どーしよーもない独占欲からで。



なのにまさか、押し付けようとしていると思われてたなんて。


まぁ、利嘉の気持ちが分からない状態ではそう思うのも仕方ないのかもしれないけれど、こっちにしてみれば「なんでよ!?」と驚くばかりだ。


< 196 / 233 >

この作品をシェア

pagetop