じぇねれーしょん
もてない方じゃないし、お付き合いの経験もあるけれど、イマイチ盛り上がらないというか恋愛に対しては淡白な方だ。
お付き合いなんてものは適度なノリと愛想と優しさで捌くものであって、『運命の人』なんて言葉は戯言だと頭から信じている口である。
だから、こんなのはなにかの勘違い。
何がどう勘違いなのか分からないが、ともかくそう結論付けた時、丁度良くバックミュージックが変わって、ショータイムが始まった。
いつになく緊張したが、失敗もせずやりこなす事が出来た。
チラリと彼女を伺うと、子供のような無邪気さで盛大に拍手を送ってくれていた。
これは、反則。
興味なさげにスルーされるか、大人な対応で儀礼的な賞賛程度だと思っていたのに。
クールな大人の女性が見せた素直な反応は、普段から物事に対してきゃあきゃあ騒ぐ女性の何倍もの威力だ。
何より、まるで存在の全てを認められたような気がして嬉しくなった。
暫くして、電話を受けた男が姿を消した。
え?帰っちゃったわけ?
まさかと疑ったが男はいつになっても帰ってくる気配はない。
利嘉は意を決して彼女に近づいてみた。