じぇねれーしょん
ちゃんと聞かなきゃ。
そしてちゃんと言わなきゃ。
限界ぎりぎりで爆発したくせに二人とも肝心の事を詳らかにしていないのだから。
猥雑な空気が漂う撮影の支度に余念のないスタジオに入る。
加藤千佐都はすでに来ていて、同世代のモデルの男の子たちに囲まれ和気あいあいと語らっていたが、リカの姿はなかった。
こんなところでどうするわけでもないけれど姿がないとやっぱり寂しくなる。
ちょっとだけがっかりしながらも、セットの支度に加わる。
「わー。どうしたの、それ。すっごくキレー。」
弾けるような千佐都の声に振り向けば、たった今到着したらしいリカがスタジオに姿を現した。
その手にはひとかかえもするような深紅の薔薇の花束がある。
薔薇の花束?
撮影の小道具だったかしらと手持ちの資料を慌てて改める。
だが、そんな詳細はどこにもない。