じぇねれーしょん
「信じらんない…信じらんない…信じらんない…」
久々の貸切お家カクテルバーで、先ほどから七緒はカウンターキッチンに突っ伏し呪詛のように呟いている。
利嘉は浮かべる苦笑ほど困ってはおらず、いそいそとカクテルのオカワリを造ってテーブルに置いた。
七緒は親の敵みたいにグラスを睨み付けるや否や、グビーッ!と一気に煽った。
「それじゃ、赤提灯のオジサンだよ、七緒さん。」
うるさいわねっと七緒が利嘉を睨む。
「信じらんないっ、まさかあんなところであんな事言うなんてっ、一体どんな神経してんのよっ。」
ぅあー、と頭を抱える七緒を横目に利嘉はしれっと返す。
「あんな事っていうけど、これ以上ない正攻法だと思うけどなぁー。」
「そっ………それは!だからってっ」
告白を単なる悪乗りだと思ったか、コドモの戯言と思ったか、周囲の対応は中々に温かかった。
寧ろ、イジル気満々。
それをいいことに利嘉は今日の撮影の間、しつこいほどに七緒を追いかけまわし熱烈な求愛をし続けた。
七緒は本気で困っていたようだけど。