じぇねれーしょん
「あのっ……次は何に致しましょうか?」
どこか上の空でいた彼女の双眸が利嘉に向く。
だから、その反応は反則だって。
まるで掛けられた言葉の意味が分からないというようなキョトンとした顔に頭の芯がクラクラする。
無論、それは利嘉を同性だと思っているからで、相手が男だったら良くも悪くも別の反応が返るのだろうが。
同性だと思われることは中々の利点で、警戒されることもなく名前から当たり障りの無い趣味などが容易に聞きだせた。
何気に砕けた雰囲気になってきたのを見計らって、気になって仕方のない事を尋ねてみた。
「で……カレシ帰っちゃったんですか?」
「そ、恋人からの電話ですっ飛んでったわ。」
「えっ!」
それって二股?
それとも恋人じゃない?
やや上の空でカクテルを出し、会話をしているとまた衝撃的な告白がなされた。
「……まぁ、そんなカンジで振られちゃったくらいだし。」
「えぇ!フラレちゃったんですか!?」
七緒は続いてフラレた要因らしきを端的に述べていたが、利嘉の耳を殆ど通り過ぎていた。