じぇねれーしょん
昼間はスーツのビジネスマンやらOLが忙しなく行き来するビジネス街も、九時ともなると閑散とした雰囲気が漂い始める。
歩行者道路の植え込みの淵に腰を下ろし、ガラス張りの巨大な建物を見詰める。
俺は緊張を吐きだすように深呼吸をした。
待ち合わせは余裕を持って十時に指定してあるけど、待ちきれなくて押し掛けてしまった。
目の先の方にある建物は、『カノジョ』の勤め先。
高校の時はバイトで通ったビルなんだけど、今更だと敷居が高くてさすがに入りづらい。
カノジョはまだあの中で仕事してるんだよな……。
今から会えるのだと思うと、心臓が破裂しそうに高鳴る半面、不安で握りつぶされそうにもなる。
別れたのは二年前―――俺の卒業と同時だった。