じぇねれーしょん
思いだせば未だに胸が軋み、思わず目頭に力が籠る。
あんなにスキだったのに、どうして別れることができたんだろう。
どうしてこんなに離れていられたんだろう……。
別れの切欠は皆実さんの一言だ。
『利嘉、卒業したら留学しない?』
至れり尽くせりにも用意されていた下宿先は俺も知っている人物の家だった。
ルイスじーさん。
じーさんなんてのもおこがましくて、バーテンダーとして数々の大会で優勝する権威だ。
皆実さんの実家と付き合いがあって、俺は幼い頃偶然の機会を経て見たカレの妙技に惹かれ、バーテンダーを目指すようになった。
その爺さんがそろそろ妙齢なのでバーテンダーを引退するということだ。
もう、カレのシェイクを見ることが出来ない。
それで最後に皆実さんが俺の下宿をゴリ押ししてくれたのだ。
『どうするかは自分で決めていいよ。』
皆実さんはあっさりと決断を委ねてきたけれど。