じぇねれーしょん

これから大学へ入って、成人になるまでこっそりバイトするのも変わらなくて。


高校生じゃなくなるから多少世間の目はゆるくなるとはいえ、未成年だから七緒さんとの付き合いも相変わらず。


二年のこう着状態。


それから修行して、一人前になるには一体どれだけかかるだろう。


だったら、その二年で目覚ましく飛躍するには、どうしたらいい?


悩まなかったわけではなかった。


でもその時には既にどこかで腹は括っていた。


そして俺は留学という手段を取った。




留学すると言った俺に七緒さんは『待たない』と言った。


俺が心を残さないように。

精一杯頑張ってこられるように。


それが分かっていたから俺も『待っていて』とは言わなかった。

言えなかった。


一緒にいてあげる事も出来なくて。

七緒さんが疲れた時にお疲れ様と言ってあげる事も出来なくて。


そんな時、カノジョの傍にいて、優しく労ってくれる相手に七緒さんが心を揺るがしたとして、俺はまるで責める権利なんてないんだ。

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