じぇねれーしょん
マジか?
さっきのアレ(元カレシもどき)と真っ向から戦っても一刀両断で切り捨てられて終わりそうだけど、フリーならチャンスあり?
そのとき、七緒の体がぐらりと傾いだ。
「ちょ、七緒さん?だ、大丈夫っ!?」
テーブルに突っ伏したきりピクリともしない七緒に利嘉は大いに慌てた。
それほど強い酒を選んだつもりはなかったけれど、どんなのチョイスしたっけ?
って、今はそんなの考えている場合ではなく!
にしても、ツレもいない状態で潰れるなんてオンナとしてどうなんだ。
無防備すぎだろ。
思考ばかりはハイスピードで、そのくせなにも出来ずオロオロしていると状況に気付いた晴可(はるか)がスルリと近寄ってきた。
晴可はホストでも十分やっていけそうな軽薄な美系だが、コレで中々抜け目なく生真面目なタイプでバーテン兼任のフロアマネージャだ。
「救急車の要請は……ま、いらないだろ。寝てるだけっぽいし。閉店までこのままにしておいてもいいけど。どうする?裏空けるか?」
酔い潰れにも慣れたもので、大抵はほっておくものだが営業に邪魔になるようならスタッフルームで一時お預かりするときもある。
利嘉はチラリと時計に目をやった。
タダイマ零時ちょい前。
契約はショーのみだが、常には最終までいる。
今夜は……とりあえずショーは一度やったし、実際雇い主もここに長居することを好まないので、帰っても支障はない。