じぇねれーしょん



七緒さんが再会の名目でリザーブしてくれたのは、ビジネス街からさほど遠くないイタ飯屋だった。


インテリアや料理の質は高いが、客が和気藹藹と語らう雰囲気の良い店で、敷居はさほど高くない。


ヨカッタ、こんな服装でも入れるトコロで。


その辺りは七緒さんが俺の歳を考慮して、店のレベルを考えてくれたのだろう。


「さすが七緒さん。良い店知ってるねー。」


美味しい料理を頬張りながら、俺は努めて二年前の屈託ない自分を装い、愛橋を振りまいた。


今更ながらに、どうして今まで離れていられたんだろうと思わずにはいられない。


まるで瞬間冷凍した物を溶かすように、別れた時に凍結した想いが、再会と同時に新鮮なまま蘇って、どこからともなくトロリと流れ出るようだった。


どーしよ。

俺、このヒトがスキだ。

二年間離れていたのが嘘みたいに、相変わらず目の前のヒトに惹かれてしまう。


それでいて俺は怯んでいた。


俺はそうであるのに、七緒さんが同じだとは限らない。


もう新しい恋を見つけて順風満帆にやっていて、俺と食事するのなんて過去気を揉んだ出来の悪い生徒のその後を確認する教師のような気持ちなのかもしれなくて。


だって七緒さん、すっごい平常運行……。


再会の喜びも、旧友と会う程度には示してくれてるけど、特別って程じゃない。


どこか一線を引いていたメール交換みたいに、核心に触れる事は意識して避けてるよね?


それって、俺に告げるには心苦しい事実があるからじゃなくて?


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