じぇねれーしょん
「はよ~。って、朝っぱらからダークじゃねぇの、利嘉ちゃん。」
「バイトだったんだろ。働き者だな。」
ゾクゾクと登校してくるクラスメートが、机に突っ伏す利嘉にからかいのような挨拶を掛ける。
バイトは許可されていて、殆どの者がやっているのでこんな会話もフルオープン。
尤も、利嘉に限っては法律的にアウトなので、友人にも曖昧に『裏方』とだけ言ってある。
それで殆どの者は勝手に飲食店(ファーストフードとかファミレスとか)の裏方と勘違いしてくれているようだが。
「はよ。今日の俺は海溝の深海魚なのでほっといてくれていいデス。てか、リカチャン呼ばわりはヤメレ。」
「なんで。リカチャンはリカチャンだろ。で、冬景色ってのは何々?何でさ。バイトでヘマして店長にでも怒られちゃったかなぁ~?」
「……それ海溝じゃなくて海峡じゃね?」
呆れモードの突っ込みを入れて、再び机に突っ伏そうとして、跳ね起きた。
「ちょっと見せて。」
数個前の席で固まっていた女子生徒の輪に突っ込み、彼女等の見ていた雑誌を食い入るように見詰める。
「なあに?リカチャン、ドクモに興味あンの?」