じぇねれーしょん
傲慢に愛を強請ってもそれがルールとばかりにリカは煩わしそうな顔もしないで、寧ろ喜んで与えてくれた。
どんなことをしても傷つかない、傷付けない。
とても気楽な関係。
コレまで必死に我を押さえて相手を立てて男性とオツキアイしてきたけれど、ひょっとして一過性のお付き合いの方が向いているのかしら、と思わずにはいられない。
勿論、根が生真面目で、恋愛に淡白な七緒には、思うだけで決して出来ないことだけど。
七緒は気持ちを切り替えるように小さく深呼吸して、スタジオのドアを開けた。
今日はこれから、担当となるモデルの子達と顔合わせを兼ねた打ち合わせがある。
雰囲気に慣れてもらうために時間の限りで鈴木が撮影現場を見学させておく手はずになっていた。
スタジオに入った七緒を見付けて鈴木が寄ってくる。
「スミマセン。時間ギリギリ。」
「こちらこそデスヨ~。和原さんだって忙しいのに申し訳ないデス。」
鈴木は申し訳なさそうに、だけど結婚の隠し切れない嬉しさが滲み出た顔でペコンと頭を下げた。