じぇねれーしょん


撮影が休憩に入り、程よく張り詰めていた空気が猥雑に変わる。


「あ~、でも和原さん、今回は当たりデスよ。オンナノコは少々自分の可愛さを鼻に掛けている節はありますが、あの手合いは男の子の視線に弱いので、あまり我侭は言い出さないと思います。
それより何より、今回はオトコノコ大当たりデス!可愛い上に愛想もよくて、礼儀正しいデスし。」


さすがクソガキを飼いならしてきた担当だけあって読みが深い。


感心しながら手持ちの資料で名前を確認する。



オンナノコの名前は加藤千佐都。

オトコノコは―――


「これなんて読むんですか?」


尋ねた声が「あ、彼等です。」という声に遮られた。


喧騒に向かって手を振る鈴木に合わせて視線を上げ、七緒は笑顔を引きつらせた。



「あ、彼女が今回アナタ達の担当になる和原サンです。」



そんな鈴木の声も遠く聞こえる。



“カレシ”は七緒を見て一瞬驚いたように目を見張り、不意に眩しいみたいな笑みを浮かべた。
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