じぇねれーしょん


「どう?」


単の得意げな物言いも気にならなかった。


「ええ。すごかったわ。」


七緒は素直に答える。


「いきなりサーカス小屋にでも放り込まれた気分よ。得したわ。」


「こーいうの好きだもんな。所謂、ツンデレ。」


うるさいわね、と単の頭を小突く。


普段、淡々としてみえるらしい態度は決して意識したものではなく、治したくても治らない地なのだ。


ほっといてもらいたい。



単の胸元で携帯が鳴った。


七緒の拳を交わしながら携帯を取り出した単は席を立ち入口付近の静かな場所まで移動した。


戻ってきた単を見て、七緒が先回りに声を掛ける。


「カノジョ?」


「ピンポンパン♪昨日から出張だったんだけど予定より早く終わったらしくて、もう最寄の駅だと。というわけでお先に。」


強引に誘ってきたくせになんてヤツ。……とちょっとむかっ腹が立ったが、単が恋人至上主義なのはよく知っているので大人しく見送った。
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