じぇねれーしょん



悔しげに口を噛み締めていると不意に強い力で引かれた。


「っ……やめっ、リカ……!」


渾身の力で拒否してみるけれど、リカは逃がしてくれなかった。


後頭部を押さえつけ、熱い舌で口内を蹂躙する。


年下といえども拘束する力は男のもので、腕すら振り解けない。


悔しいかなキスは巧みで、抵抗を諦めた頃にはリカにしがみ付いているような体たらく。


大人の矜持とばかりに上目遣いでリカを睨むが、土台、潤み切った双眸では迫力に欠ける。



何より、

睨み付けた先の怒ったような傷ついたみたいな複雑な表情に気圧された。



無理矢理キスしておいて、何なのよその顔は……。


しかしその顔は幻と見紛うほどにあっけなく消えうせ、代わりに人を食ったような無邪気な笑顔が浮かんだ。


< 50 / 233 >

この作品をシェア

pagetop