じぇねれーしょん






音楽室から教室へ戻る途中。


「お。何だよ、利嘉。最近やけにご機嫌。」


数人でゲラゲラとバカを言って笑っていた友人の一人が、利嘉の鼻歌に突っ込む。


「あ~。つか、カラオケ行きてぇ。」

「じゃあ、明日どうよ。」

「明日はダメ。俺バイト。明後日は?」

「俺はオッケー。」



口々に参加の意思表示がなされる中、申し訳程度に「利嘉は?」と尋ねられたが、利嘉は首を竦める。


「チェ。この守銭奴。またバイトかよ。」

「ん~。でも今月は前半殆ど入らなかったんだよねー。」

「前半?テストでもないのに何で。」

「色々とあって。」





七緒を手に入れた。



とりあえず、目に付いた読者モデルのバイトに滑り込んでみた。


同じ業界のことだ。カメラマンとかスタイリストとか、他の雑誌社と掛け持ちの人物を虱潰しに当たっていけば、七緒の所在を掴めるか、と踏んだ。


ドンピシャだったのは本当にラッキーな偶然だ。


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