じぇねれーしょん
そういった七緒はカウンターに項垂れ、利嘉に対する言い訳というより、殆ど愚痴のように続けた。
『今夜だってこの時間。コレだって頑張ったのにこの時間っ。ていうか、頑張っても埒があかないから投げ捨て状態でこの時間っ!!どうするつもりなの、私!マジでケツ捲くらなきゃ間に合わないのに……っ。』
緊張に縛られていた利嘉の体からがくっと力が抜けた。
それと入れ替わりみたいにジワジワと嬉しさと愛おしさが込み上げてくる。
仕事が嫌いというわけじゃないのよ、やりがいがあるし。
と、独り言のように続けている声が少々湿っているのがツボを刺激する。
カウンターを回った利嘉は想いのままに七緒を抱きしめた。
驚いて今更抵抗しようとする七緒を勿論解放してなどやらない。
『ごめんね?』と耳に囁く声は我ながら眩暈がするほど甘かった。
『ひょっとして呼び出しの分、仕事詰まっちゃってた?仕事忙しいの知ってたのに俺が考えなしだった。あのさ、拒否権はないって言ったけど仕事なら考慮するから、無理しなくていいんだよ?』
腕の中で無駄に足掻いていた体がピタリと止まる。
『……別にリカの所為じゃないから。』
憮然とした声は年下の男に慰められている状況への抵抗。
ってか、
脅されて来る羽目になったことすっかり忘れてますよ、七緒サン?
利嘉は堪らず噴出した。