じぇねれーしょん
『何笑ってるのよ!』
『え~?だって、七緒さん、無理してまでここに来たかったんだ?』
『っ!………ち、違うでしょう!リカが脅すから私は嫌々来る羽目に。』
バカ正直な七緒は図星を突かれると、一瞬詰まる。
二言目には脅されてというけれど実際ここに来ることはキライじゃないらしい。
尤もそれは一人身では味わえない至れり尽くせりのこの状況が好きなのだろうけど。
と、利嘉はカウンターの上のグラスを見て苦笑する。
七緒は外では『頼られるキャラ』
それ故気を張っている反動からか、甘やかされることに弱い。
ま、いつかは利嘉を目当てに来てくれるように仕向けるとして、当座は理由が何であれ来たいと思ってもらえるだけで御の字としておこう。
ヨカッタ。
まだ切り捨てられたわけじゃない。
キライになられたわけじゃない。
少なくとも七緒にとって利嘉は価値を持っている。
だーいすきな仕事と天秤にかけられる程のウェイトで。
そんなことを考えつつ含み笑っていた利嘉は、前を行く友人の会話に意識を戻した。