じぇねれーしょん


常には部活、貴重な休みは彼女に費やす友人が、珍しくカラオケの参加を申し入れている。


「あれ?アイツ彼女はどーしたよ?別れた?」

「微妙?」

「何、ビミョウって。」

「彼女引越してさ、遠恋じゃん?
で、決定打はないらしいんだけどね。自然消滅なカンジ?
ま、物理的に離れちゃうとありがちだよなー。キライになったわけじゃないからお互い別れを切り出さないけど、傍にいないことが自然になるっつーか、お互いにお互いの存在が必要なくなるつーか。」




ブツリ的にハナレちゃうと存在がヒツヨウなくなる?



友人の言葉を反芻してヒヤッとした。


七緒とは歳も立場も違うので、物理的な距離が出来るのは弁えている。

寂しくないわけじゃないけれど、仕方がないことだと割り切っている。

それに下手に束縛したがれば大人の七緒には鬱陶しがられそうで、見栄もあった。



七緒の仕事は慢性的に忙しくて。

…じゃあ、この割り切りに馴れるということは、会わないことに慣れてしまうということだろうか。


七緒のほうはどうなのだろう。


逢瀬の日々が非日常で、今は一人身の日常に平穏を感じているんだろうか。


七緒が自分の存在のない生活をアタリマエの日常とするのは、嫌だ。


これはなんとか手を打たなくちゃ、だ。



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