じぇねれーしょん
早く会いたい。
もう少ししたら撮影も始まって、会えるのは分かっているけれど。
それまで我慢するつもりでいたけれど。
会えると思うと、この瞬間すら長いと感じる。
今すぐ触れたい。
肌を重ねて存在を確かめたい。
ソワソワとしながら業務をこなしていると、カランと音がして扉が開いた。
愛想よく「いらっしゃいませー」と向けた笑顔が、一瞬にして引きつった。
なんでよ!?
入ってきたのは、七緒が初めて来店した時に一緒にいた男で。
こともあろうか、隣には女性を同伴している。
女性は男と同世代くらい。
フェミニンなスカートスーツで、とても可愛らしい。
だが、女性が可愛らしければらしいほど、利嘉の苛立ちは増した。
この女が七緒から男を奪ったのだ。
そのお陰で利嘉にチャンスが巡ってきたわけだけど……
手放しに喜ぶ気にはなれない。
利嘉ですらこんなに心中穏やかじゃないのに、七緒が見たら絶対イタイはずだ。