じぇねれーしょん


男は利嘉の心中など知らぬげに、愛想を返しカウンターに着いた。


「オマエ、何呑む?」

「なんにしよっか。」

「甘目なヤツがいいんだろ?じゃ、この辺おススメ。」


イチャイチャとメニューを覗き込む二人に苛立ちは益々増して、利嘉は睨むように男を見下ろした。



まるで見る目のない馬鹿な男。


隣の彼女は、そりゃ、見た目もそこそこカワイイし、性格も悪くないのかもしれない。

けど。

七緒さんが負けてるなんてことは絶対ないから。

つか、七緒さんのほうが断然イイ女だから!




七緒さんを捨てて別の女に乗り換えるとか、絶対アリエねー!!






暫くして彼女がトイレに立った。


利嘉はオーダーのグラスを出しながら、手慰みに話しかけてきた男にニッコリ笑いかけた。


「ソレ、驕り。……だから、呑んだら速攻帰ってくんない?」

「はぁ?」


声音の棘に気付いた男は少し不愉快そうに眉を顰める。


「なにかな、それは。客に対して随分シツレイじゃね?つか、君ってそんなキャラだったんだ?」


「カンケーないね。客だとか思えねぇし!ともかくさっさと帰ってよ。会わせたくないの!今から七緒さんくんだから!」


「………………七緒?」



男は少し驚いたように眉を跳ね上げた。



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