じぇねれーしょん
「私のためにアリガトウ。私のためにゴメンなさい。」
アリガトウは、新しい彼女を連れた元彼と出くわして七緒が傷ついてしまわないように庇ってくれたこと。
ゴメンなさいは、そのためにリカの仕事場での立場を悪くしてしまったこと。
突如、リカは顔を両手で覆って「ぅあーっ!」と身悶えた。
「スンゲー恥ずかしいっ、俺!メチャクチャ熱血しちゃったじゃんっ。しかも人違いなんていうオチ付きで!?アリエねーッ!」
壊れた!
「ご、ごめんねっ!?それについては本気で謝るからっ……!」
落ち着いて、と宥める七緒にリカが抱きつく。
こんな様は子供というより子犬のようだ。
うぅ~と唸る背中をあやすように撫でる。
暫くそうして時が過ぎた。
不意に耳元で「ごめんね」と小さく呟きが落ちた。
何でリカが謝るのよ?
「……ごめん。今夜はさ、七緒さんに元気回復してもらおーと思ってたのに。出端で躓いた。逆にメンドーなことに巻き込んじゃって……」
胸がきゅーと痛んだ。
「バカね…。メンドーって何よ。そもそも私のことで…面倒を被ったのはリカのほうでしょ。」